Retail Tech

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戦略と戦術、両輪の間で両者をつなぎこみ、全体を見た改善策を。Tsuzucle久保×篠原が語る「SNSおよびデジタルマーケティング支援事業」について

Tsuzucle 取締役 久保氏、HR・PR責任者 篠原氏

2024年7月、forestグループに加わったTsuzucle。今回は、forestのリテールテック事業におけるSNS領域およびデジタルマーケティング領域の支援を担うTsuzucleの事業内容や強みについて、Tsuzucle取締役の久保さん、HR・PR責任者の篠原さんに語っていただきました。

 

インタビュイー

株式会社Tsuzucle(forestグループ)マーケティング・コンサルティング事業部 久保

株式会社Tsuzucle(forestグループ)HR・PR 篠原

forestのリテールテック事業チームはforestの持つ経営管理・財務への深い理解と、マーケティング領域の掛け算が特徴

――まずはリテールテック事業についてご紹介いただけますか。

久保

個人的に、「リテールテック」という言葉自体、割と抽象度の高い言葉だなと思っています。大きく分けていくと、商品企画からどこで販売するかという話と、どう販売するかというマーケティングの話になると思うのですが、ここに加えて実はもう少し大上段となる財務や経営管理の話も入ってくるというのが私の考えです。

 

そう考えると、forestの強みであり稀有な点だと思うのは、財務寄りの考え方が強いチームであるため、経営管理、財務に強いこと。財務やデューデリジェンスなど、上段から入りやすいところが挙げられると思っています。

 

最近のマーケティング領域を見ていると、極めて横断的なことができる人が少なくなっていると感じます。マーケティングには広告運用やSNS運用などいろいろな施策があり、1つで解決できるものは少ないんですね。その抽象度の高さゆえか、世界的にマーケティングを担う経営層であるCMOの役割が削られている流れが見られます。

 

商品が良ければ、マーケティングなんて必要とされず、口コミで売れていくパターンもあるわけです。一方、立地が悪ければ売ろうとしてもいくらマーケティングに力を入れたところで売れないということもある。そもそもデータが取れていないのに、データを施策はできません。マーケティングは広告を打って伝えるだけの話ではなく、システム、商品企画、顧客理解を経営的な視座で捉え、横断する形で見なければワークしない部分があり、CMOの役割がぼやけてきているのかなと思います。

 

裏返すと、マーケの人たちは圧倒的にスキルが細分化されすぎていると良くも悪くも感じています。マーケットコストをどんどん強化していくと、どこかで絶対にサチュレートポイント(=飽和状態)がやってくるのですが、そのタイミングでリブランディングしたり新商材をどんどん生み出したり、M&Aを選んだりと、会社は判断を下します。そこで、マス広告を打ってイメージ付けに行く会社もある。その中で、我々は「本当にサチュレートポイントまできていますか?」という問いを大事にしております

 

要は、あまりにもチャネルが広がっていて、SNSひとつ取ってみてもいろいろなものがあるなかで、広告を打つといってもその種類は膨大になっているわけです。そのなかで本当にすべてやるべきことをやれているのか。また、やった上で踏み込むかどうかを判断できる人材が社内にいるのか、という観点で見ると、改善余地を残しているパターンが多い。その理由が、先ほど挙げた「スキルを含めて細分化されすぎている」ことかなと思います。

 

そうしたなかで、我々は横断的に見られる体制とPM力を意識しているところが強みですし、forestとTsuzucleがタッグを組むことで、領域ごとにいるスペシャリティのスキルを活かし、デリバリー支援を最優先の課題として強度高く推進できることが武器だと思っています。

篠原

補足するとしたら、コミュニケーションラインや会議体も含めて顧客企業の内部に入り込んでお客様の商材を伸ばすところに注力しているのが他社と異なる強みなのかなと。多くの会社が「ここの目標だけ追わないと」と言っているなかで、私たちは本当にものを売ることを考え、そのための手段を広く考えつつ、「今のフェーズではここだよね」という意思決定ができることが何よりもの強みだと思っています。

――今お話しいただいた強みがわかるエピソードで、お話いただけるものはありますか?

久保

大手の総合生活商材メーカーさんから「新しい服を売りたい」という抽象度の高い依頼を受けてご支援に入った事例があります。前年まで大手広告代理店に依頼されていた中で、ふつうに広告を回し、予算内でプロモーションをやって結果が出た。これが前年の施策でした。代理店からすると、依頼されたことをスコープとしてやっているわけで、決して間違いではありません。

 

ただ、そもそも事業構造的なところから考えていくと、その会社は総合生活商材というだけあって、本当にありとあらゆるものが揃っており、かつ卸が非常に強いんですね。社内には直販をするEC事業部もあれば、自分たちで店舗運営をする事業もあれば、卸先を押さえる事業部もあるといった具合に、商材ごとに事業部が細分化されている形になっているんです。

 

当時の内情としては、会社全体の商材の売上を本来追求すべきところ、事業部個別の売上追求にならざるを得ない状況がありました。卸販路では一つの商材を置くことで、その会社の他の商材をおけなくなります。この事業構造では、社内のハレーションにつながってしまうため、卸チームでは対象商材の競合商品を勧めてしまっておりました。我々が支援に入った際にはもちろんEC単体の売上成長を実現することは当然として、事業部横断の連携強化につながるよう働きかけていきます。結果として、EC売上単体で2倍に伸ばすとともに、社内全体の連携ラインとして、クライアントとは長期的な関係につながりました。

 

このように、部署間の横断ができず部分最適になっていると、会社全体で見たときに機会損失を起こしてしまうおそれがあります。逆にいうと、このケースでは卸先と協業して棚を取りに行く動きをする、社内でも卸先の中で売れていない商品をどけてでも置かせてもらう動きが必要だということです。

 

全社最適で動けるようにするためには、コミュニケーションラインの調整から入らなければならないのですが、本当に経営インパクトのことまでを考えるのであれば、そこまで揃えることで初めて売上が安定的かつしっかりと取れる地盤を作れるのだと思っています。

 

これらを社内だけでやろうとするとしがらみがあって難しい。そこで我々が入り、あるべきプロモーションを展開しながら、社内として売上を最大化できる体制に作り変えていくことが必要なのだと思っています。そういう視座を持てるのは簡単ではなく、だからこそ選んでいただけることが多いのかなと。

篠原

私がずっと携わっているアパレル会社も、最初に見ている部分は自社ECがメインだったりするのですが、ブランド全体を見ている人の視点はECだけではなく、店舗も含めた全体での売上を見ているんですね。他ブランドで似たものを扱っている場合は、食い合わないように意識する。「自社ECが」とならずに、定例の中でお客様の体制をヒアリングし、関係者がいたらその方も呼んできちんと会議を行い、きちんとコミュニケーションラインを揃えてからやりたい施策をスタートしていくことはよくあります。

 

forest×Tsuzucleの掛け合わせが、プロフェッショナル人材×豊富なナレッジという大きな強みに

久保

いろいろな事業責任者と話していて出てくるもののうち、特に強く課題と感じられているものが2つあるかなと思っています。1つは圧倒的な人材不足問題。もう1つがちゃんと事業・商材が選ばれるところまでいっていないという問題です。この「ちゃんと」がどういうことなのか説明するのは難しいのですが、使えるお金、可処分所得が圧縮されていく傾向にある反面、ブランド数や商材、情報量が加速度的に増えているなかで、「なぜお客様はうちの会社の商品を買うのか」、商材としてのバリューポイントをどこに置くかが重要なんですよね。

 

今は選ばれていても、次に選ばれるとは限りません。今選ばれていないのだとすると、求められているものを売れているのかどうかに立ち返る必要があるでしょう。どうしても目先の数字を追いかけていくと、小手先の改善策に注力したくなってしまったり、配信効率の話ばかりになってしまったりしますが、大切なのは戦術と戦略をつなぎこむことです。しかし、日本は人材不足で事業責任者は多忙なため、なかなかそのつなぎこみまでできていないことがほとんどだと思います。

 

戦術と戦略をつなぎこむためには、現場的な視点、事業責任者のPL的な思考力の双方が必要となります。foretリテールテック事業の中で、Tsuzucleではデジタルマーケティング、マーケティング・新規事業、リテールテック領域に特化したDX支援・開発と3つの事業があるため、この双方の視点を持っていることが強みとなっています。

 

加えて、案件を担当するPMは案件ごとのPLそれぞれを管理しており、、自分の時間をどれだけ割くか、外部のプロフェッショナル人材のリソースをどう使うか、交通費を含めた経費をどう使うか含め、売上と利益に常に向き合うことになります。こうした両輪の視座を持ってコミュニケーションを取れるところを買われて選んでいただいていることが多いと感じています。

篠原

上手くいっているお客様は、自分たちの商品に自信を持っていて、商品開発に注力できているところが多いというのが大前提としてあります。そこに対して、我々ができることは、ただのマーケティング施策の良し悪しの判断だけではなく、施策を踏まえてどういう商品のほうが売れやすいのか、そこを事業責任者レイヤーときちんとディスカッションして、より良いものを作っていくであったり、良さを伝えるために必要な販促であったりと、かなり上段のところから入っていけるところが良さなのかなと。

 

我々は決して魔法の杖ではなく、我々が入ることで絶対に事業が伸びますよというわけではないと思っています。一緒に作っていこうというお客様との取組が、結果的に数字としてもついてきていると感じますね。大手百貨店のInstagram運用を行った際も、現場の人に任せきりにするという上の意思決定にはならず、上が経営目標と現場の結果をどういう風に捉えるのかというところを、ちゃんと伴走して一緒に入っていけるケースだと、上手くいくことが多いです。

 

会社全体としてみんなでより良いものを作っていこうという基盤があった上で、そこに我々が入ることで内部の出力が最大化される、うまくかみ合っていなかった組織のやる気がうまくかみ合うようになるという好循環が生まれるようにしております。

久保

forestグループの中にTsuzucleがいる強みは4つあると思っています。

 

1つ目が現場と事業部長の両輪の視座を持っていること。戦略コンサルと代理店とが分断されているなか、双方の視点から見て判断できることで、KPIとKGIをつなげることが強みです。

 

2つ目はマーケティング事業部と代理店みたいな分断されがちなところの横断を得意とするプロジェクトマネージャーが多いこと。それぞれがそれぞれの最適解で動こうとするなかで、全社最適のことを考えると、事業部と事業部、AとBという代理店など、連携が必要なシーンが出てきます。そこに我々が入り込むということは結構あるなと。

 

3つ目は定性的な話で、Tsuzucleのメンバーはいい消費者が多く、コンシューマーへの感度が高いということですね。営業段階で重視しているのは、ユーザーにとってベネフィットがあるプロダクトかどうか。ない場合は断ることにしていて、案件を受けるからには自分たちが胸を張って「この商品は世に出るべきだ」と思えないといけないという共通認識を持っています。責任を持って広められるものを支援しています。

 

4つ目は、社内に蓄積された豊富なノウハウ・知見の集約体制です。Tsuzucleには社内のWikipediaがあり、900記事ほどの豊富なナレッジの蓄積があります。加えて、forestのプロフェッショナルリソースを得られるようになったことで、顧客との間の課題に対して聞けば一次情報が出てくるようになりました。会社として、外付けハードディスクがあるようなもので、これはかなり大きな強みだと思います。

篠原

グループ内で独立した組織であるTsuzucleとforestの掛け合わせにより、知らなかった知見が徐々に貯まってきているのは強みですよね。実際に事業を持っていないために知りえなかった部分が、事業展開をしているforestと掛け合わさることで知れるようになりました。

――「こういった企業からのオファーが多い」という傾向はありますか?

篠原

上手くいっているときには大手代理店に頼むことが多かったけれど、それだけだと上手くいかないなとなったタイミングで相談に来ていただいたというケースが多いです。コンサルフィーには一定のコストがかかりますが、そこをきちんと深く考えてV字回復を狙いたいとか、新規事業を立ち上げる際に何から手を付けるのか、優先順位を付けて細かな意思決定を連続的にやっていくところが弊社のポイントで、そういった会社さんには刺さりやすいのかなと思います。

久保

入口は「SNSが課題です」というケースでも、SNSだけが課題となっている会社は存在しないんですよね。入口はチャネルであっても、出口は全社課題に広げていかなければなりません。フォロワー数を増やすのがゴールだというケースはほぼなく、利益や売上につなげなければなりません。にもかかわらず、分断されているためにそこができていないケースが多いんです。広告予算を増やして刈り取り効率を上げようと必死にがんばっていても、自然検索数やオーガニックでの売上は全然増えていないという会社は結構多い。これは広告の反応が悪くなった瞬間に売上がダメになるという1番苦しいパターンなんですよね。

 

刈り取りは大事なんですが、刈り取れる母数、いわゆるガソリンをきちんと生み出して、そのガソリンを投下して燃やし、走り続けられるようにする両輪が必要なのですが、そこができていない企業が多い。これは繰り返しになりますが、スキルの細分化と統合できる人材不足が要因で、その間に我々が入り込んで改善しに行くケースが多いですね。

――今後の展望についてお聞かせください。

久保

今後はインダストリアルとフェーズの2軸で、マーケティングをより効果的に活用できるソリューションを積極的に作っていきます。具体的にいうと、今のマーケ業界はInstagramをやりますとか広告を回しますといった話が見られますが、立ち上げ期とグロース期とでは適した運用方法が異なりますし、消費財が変わるとユーザーの顧客体験や購買のモチベーション、意思決定のフックも変わっていきます。

 

我々の実績をプロットしていくと、得意パターンのオファーリングができるくらいの蓄積があるため、クライアントごとのニーズに対し、これまで以上に期待値・スコープずれない形でプロフェッショナル人材のアサインができるようにしたいなと。「アパレルの立ち上げフェーズなら、Tsuzucleのこのソリューションだな」と想起していただけるよう、リテール領域における支援を強めていきます。

篠原

事業としても成長フェーズに向けて動きを強めており、絶賛採用も強化しております。forestグループの拡大に合わせた事業・組織の進展に関わりたい方、CMOのようなキャリアを描いている方は、是非お声がけください。Tsuzucle社内の体制の拡充も含めて、最適なタイミングで提供できるような体制を整え、今後もお客様の満足度が上がるよう進めていけたらと思っています。

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