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日本のブランドや商品は、その品質の良さはグローバル視点で見て大きな魅力があります。しかし、国内だけでの販売では、なかなか海外の方に購入いただくことはできません。そこで活用したいのが、越境ECです。
ただし、越境EC事業を成功させるには、言語の壁や商習慣の壁など乗り越えなければならないハードルがあります。「自社ブランドを海外の方にも知ってもらいたい、海外の方にも買ってもらいたい」というブランド、事業者の方を支援しているのが、forestの越境EC事業です。
本事業に携わるforestの高橋、Tsuzucleの藤井に、越境EC事業の強みやニーズ、目指す展望について語ってもらいました。
インタビュイー
forest株式会社海外越境事業部 高橋
株式会社Tsuzucle(forestグループ)Shopify EC構築事業部 藤井
――まずはforestが展開している越境EC事業について、概要をご紹介ください。
高橋
大きく3つの事業を展開しています。
1つ目は自社での越境ECの運営で、現在は日本の伝統工芸品を扱う「omakase」、文房具を扱う「Shibuya Stationery Store」の2つを運営しています。
2つ目は海外のマーケットプレイスへの進出支援事業で、主にAmazonでの商品販売の支援や、日本のブランドさんに協力して弊社のOEMブランドを作り、USで販売するといった事業も行っています。
3つ目は、マーケットプレイスではなく、自社で越境ECを運営したいというお客様への支援事業です。「世界一正統なスウェットシャツを。」をコンセプトに掲げるLOOPWHEELER様の越境EC事業を2024年12月より本格始動させた事例などがあります。
これは先方からお話をお聞きしているうちに、「自社で越境ECをやりたいけどできない」というニーズがわかり、支援することになったという背景があります。弊社代表の湯原が、もともとLOOPWHEELER様の大ファンで、「ぜひ日本独自の吊り編み文化を世界の人たちに伝えたい」と思ったというのも裏話です。
――越境EC事業におけるTsuzucleの役割についてもご紹介ください。
藤井
TsuzucleはShopifyの開発事業をもともと手掛けており、フロントだけではなく、裏側の基幹システムとつなぐ開発も行ってきました。2024年7月にグループインするタイミングでLOOPWHEELER様とのお話が出ていたため、その文脈で開発部分を我々が支援する形で取り組みが始まったというのが経緯となります。
高橋:forestにもインハウスでShopifyの開発ができるチームがあるのですが、コードをいじる開発やバックエンドシステムとのつなぎ込みなどでは、実際にShopify構築をされているTsuzucleの知見がすごく重要になってきています。
特にLOOPWHEELER様のように成熟されたブランドであればあるほど、フロントエンドの見え方にもこだわられることが多いため、総合的なご要望を叶えるには、Tsuzucleのように実際に構築に携わっている会社とタッグを組むことでスピード感も増しますし、提案できることも増えたと感じています。
――越境EC事業を通じて、2社が目指していることは何でしょうか。
藤井
2点あります。1点目は、当たり前のことだと思われるかもしれませんが、お客様の手元に正しい商品が問題なく届くシステムをつくること。お客様の目に見える部分だけではなく、バックエンドにも強みをおいてやっている理由でもあるのですが、ECサイトはガワだけつくっただけでは何も動かないんですね。
物流や倉庫との連携、在庫の減りや売り上げの計上がどう基幹システムでなされているのか、などの構築後のオペレーションを考えてつくらなければ、結局システムとして使えるものになりません。そこをきちんと構築しきることが1番大切で、我々の根底にある想いになります。
2点目は、forestがまさに全社の方針として掲げているところですが、「日本のいいものを海外に」というのはTsuzucleも創業当初から言っていたことなんです。日本のカルチャー、質のいい商品をグローバルで見たときに、どこまで価値を伝えきれているかというと、まだまだできていない事業者さんがいらっしゃるのが現実です。そういった事業者さんとご一緒することで、我々の得意分野を生かしながら一緒に成長していけたらなと思っています。
高橋
藤井のお話と通ずるところがあります。M&Aも同じことが言えますが、買って終わり、作って終わりではないんです。我々が目指しているのは、お客様であるメーカーさんやブランドさんに役立つものを提供することであり、その方法が海外マーケットプレイスへの進出支援であったり、自社の越境ECの構築支援だったりするんですね。
せっかく海外進出を目指してECサイトを作っても、一旦作って終わり、2、3年前からアップデートされていないというサイトが非常に多い。海外のお客様はECに慣れている方が多く、新しいコンテンツがないと離脱してしまうため、きめ細やかなメンテナンスが求められます。メンテナンスを含めた解決策やソリューションを提案し、お客様が内部で回していけるようなシステムを提供できるところまでやっていきたいですし、実際に運用しているところです。
――先ほど、Tsuzucleさんがグループインしたことによるメリットについて少し高橋さんから語られていましたが、あらためて各々のチーム体制の強み、特徴についてお話いただきたいです。
高橋
forestの体制として特に強みだといえるのは、Tsuzucleとタッグを組むことによって実現したEC構築部分ですね。ここは特に人員も厚く、メインで押せる部分かなと。新しいメンバーも迎えて、海外マーケットプレイス事業もさらに拡大を目指しているところです、今後も人員を強化して支援を進めていきたいと思っています。
あとはネイティブのコミュニケーションが取れるメンバーが多いことも強みですね。越境EC事業のメンバーは統括の高橋マイケルを入れて7名で、その過半数が日本人以外の人なんですよ。第一第二外国語が英語で、会議も英語で行っています。海外の市況感がわかるメンバーも揃っていまして、スピード感を持った対応が可能です。
越境EC事業のなかで、越境ECをしてほしいというニーズが今は1番多く、そこに十分に応えられるチーム体制を築けていると自負しています。海外のお客様に「日本の会社で日本人が運営しているの?」と言われるほど、現地の方とまったく変わらない温度感で運営できるのが強みですね。
現在2サイトを運営している自社EC事業では、商品の選定から自分たちで行っています。伝統工芸品を作っている事業者様は海外ECを自分たちでやる工数を割けない方も多く、我々に一括で納めていただくことで、工数をかけずに海外への販売、SNSでの広告出稿までを担えます。
現在54ブランドを扱っていて、そのうち海外経験があるのは問屋さんを含めて5、6社です。多いのは、デパートに卸して訪日外国人観光客に売るぐらいで、ECでの販売に挑戦しているところはまだまだ少ない状況です。事業者様がやり取りするのは我々日本の企業なので、国内での取引と同じ感覚で海外に販売できるのが、お客様にとってのメリットだと思います。お客様は日本人なので、日本の商習慣への理解も必要で、売る先は海外なので現地のことも理解していなければなりません。そのあたりのバランス感覚を持っている稀有なメンバーが、私を含め揃っているなと思います。
あるとき、「omakase」で瀬戸焼を見たモダンメキシカンレストランの方が、お店で使う食器としてご購入いただきました。こういったことは、SNSでの発信やサイトで商品の魅力が伝わっていないと起こりづらいでしょう。デパートでの販売のように国内だけでやっていたのでは起こらなかったいい事例だと思います。
――どの国に強いといったことはありますか?
高橋
ECの商圏として大きいのは米国で、ネイティブの方と遜色のないレベルで英語を扱えるメンバーが揃っています。次のマーケットとして大きいのはヨーロッパ、アジア圏ですが、これらはまだアメリカよりは低いのが現状です。言語の問題というよりは、地域に合ったマーケティング、コンテンツ展開をする力ですね。バックグラウンドがヨーロッパやアジア圏にあるかどうかということよりも、ヨーロッパやアジア圏のマーケットに知見がある人を増やしていきたいです。
藤井
Tsuzucleはバックグラウンド側の開発人員に厚みがあるのが強みですね。基幹システムとのつなぎ込みや、カスタマイズが発生する部分について、お客様のニーズに応えた形で開発できます。正直、他社さんではここが事故を起こしやすいポイントであり、やりたがらないところでもあるんですよ。基幹回りは全事業の数字を統合している箇所になるため、何かがあると甚大な損害が出るので、リスクが大きいんですよね。その分、リターンも大きい仕事であるため、我々の強みとなっています。
越境EC事業に関しては、forestの力を借りてローカライズ支援ができるのが強みですね。他社さんでも「越境ECを作れます」と謳っているところはありますが、そのなかの事業者のどれぐらいが現地に行ったことがあるのか、生活してみたことがあるのか、現地ならではの商習慣を踏まえた価値提供ができるのかと考えると、そう多くはいないと思います。
わかりやすいのが言語ですね。Google翻訳の内容は、現地の方にとってベーシックな文章ではないことも少なくないんですよ。広告の出し方など、開発を飛び越えた部分に関してもいえることで、どのエリアにどういう訴求がいいのか、どの商品を出すのがいいのかは国によって変わります。そういった細かい部分を含めて消費者目線で提供できるのは、海外向けの事業をやるにあたって大きな強みですね。
高橋
日本では、お客様になるだけ寄り添い、商品ページに説明をしっかり載せる形がベーシックです。でも、海外のお客様はそこには魅力を感じていらっしゃらないことが多いんですね。どちらかというと、まだあまり知られていないものを見つけて買ったという宝物探し感に価値を見出す人が多いので、日本のECをそのまま翻訳するのではなく、海外向けの見せ方を考えるのが大事なんです。文字は少なく、ビジュアル特化、トンマナ注力。その上で「聞きたいことがあればお応えしますよ」と添える。強弱を意識しています。
一方、利用規約については徹底的に記載しています。何かがあるとそれらを盾にしてクレームが来るので、持てる力をすべて使って徹底的に作りこんでいますね。日本だと「特商法があれば大体OK」みたいな感じなので、そこは大きな違いだなと。
――アメリカ=訴訟文化とイメージされるように、そのあたりが海外進出の懸念になっているお客様もいらっしゃりそうです。
高橋
「製造責任がどこまで及ぶか」を不安視されるお客様は多いですforest内で解決できる保険に入って運営しているので、国内の取引感覚で進められますよとお伝えしています。
――開発部分に関する強みはいかがでしょう。バックエンドへの強みは国内外EC問わない強みになると思いますが、越境EC事業ならではの強みとしていえるものはありますか?
高橋
Shopifyはカナダのプラットフォームのため、英語圏での開発が先行して進んでいるところが特徴です。日本は第二世代となるのですが、Tsuzucleでは最新の開発情報を可能性含めて敏感にキャッチできているのが強いなと。Shopify構築会社のなかでもトップクラスだと思います。バックエンドになると、「輸出するときってどうするんだっけ」といったものに対する知見があるのも強みです。
藤井
そこはforestさんが「omakase」など自社ECを運営されてきたことによる事業者と支援者、2つの面があるのが価値提供につながっていますよね。支援者サイドだけだと、どう輸出されているのか、倉庫とのやり取りはどうしているのかなど、見えない部分がどうしてもあります。想像力だけではどうしようもないオペレーションも、事業サイドの経験があるからこそきちんと提案できる。どちらかしかやらないところが多いなか、どちらもやっているのは、他社が真似できない価値につながっています。
高橋
LOOPWHEELER様との取り組みでは、「休暇時のアナウンスはどうするの?」「倉庫のデータはどうしたらいいの?」など、大小さまざまな質問をいただいています。構築支援からマーケティングまで手掛けているため、初期回答をスピーディーに返せるのは強みですね。
そもそも、国内であってもECに力を入れていらっしゃらない、入れられるリソースがない事業者さんも多いです。LOOPWHEELER様もまさにそうで、オンライン専属の方はいらっしゃらず、店舗や本社の方が担当されている状態でした。ECはきちんとやれば新たな販路になりますが、ただサイトを開けば売れるようになるわけではありません。ふたを開いてみたものの、やらないといけないことが多くふたを閉めてしまったというケースは多いです。そこに対して我々は手助けできるので、海外に販路を広げたいブランドさんは、ぜひご相談いただけるとうれしいですね。
あと、自分たちでやっているからこその知見を生かせる部分でいうと、海外マーケットプレイス支援も同様で、特にAmazonに関しては国内でやっているので知見がありますし、Amazon JapanやUSとの協業体制もあるので、強固な地盤があります。また、他のマーケットプレイスに関しては、幅広くいる投資家さんたちのネットワークを活用することで、最新トレンドをキャッチアップできる点が特徴であり強みと自負しております。
――今後の展望についてお話しください。
高橋
オンラインの商社さんみたいになれればなと思っています。60年代70年代、事業者さんが商社に相談をしにいっていたため、商社ビジネスが拡大したのかなと思っております。今後は、海外マーケットプレイスに出たい、自社ECをやりたいという事業者さんが相談をしたいとき、「forestに聞いてみよう」と思ってもらえるぐらいの認知を得て、拡大していけると、日本社会に貢献する価値を提供できるのではないかと思っています。
藤井
「オンラインの商社に」というビジョンは本当にその通りだと思います。越境ECをやりたいけれど、体力も知見もないために土俵に立てていらっしゃらないお客様は多いです。そういった方の駆け込み寺になれるといいな、なりたいなと思いますね。
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